トランスポーター3アンリミテッド ★★★★☆
テンポよく豪快なアクション連続、あり得ない突っ込みどころ満載で楽しめます。ただ、前2作に比べて、ストーリー展開がマンガっぽくなり過ぎた感は否めません。最初が一番おもしろいってのは、シリーズものの宿命ですね。
でもね、私は、この「トランスポーター」シリーズのジェイスンが好きなんです。とにかく、強い。あり得ないくらい、強い。ジェイスンが闘うシーンのテーマ曲だけでワクワクします。やっぱり男は強くてなんぼでございます。
カーアクションもスタントも相変わらず強烈。こうなったら車で列車の屋根に飛ぶしかないでしょ、って冗談のつもりで言ったところが、全部そのままそうなっちゃう。ジェイスンが自転車で街中を走り回るところも圧巻です(ヤマカシ大活躍なんでしょうね)。
もひとついいのは、ロバート・ネッパー。TVドラマ「プリズンブレイク」のティーバッグが、非情な悪役をクールに演じてかっこいい。ティーバッグ、やりますねぇ。
反対に、全編通じてうっとうしいのが、ヒロイン。あの女、最初から最後までイライラします。
なんだかんだ言っても、最初から最後まで飽きずに見られるエンターテイメント映画の王道。ジェイスンへの贔屓目含めて80点です。
レスラー ★★★★★
これは、すごい映画です。噂通り、ミッキー・ロークの演技の凄まじさにまいりました。「いい映画」だとか「感動する」とか、そういうのではなくて、とにかく見る人の心に迫る、強烈に「ちから」のある映画です。(ちなみに、私は泣きませんでした。)
ミッキー・ローク演じるランディは、50才を過ぎた今でも現役で闘う、元スタープロレスラー。アルバイトしながら週末はプロレス興行して、かつかつの生活。レスラー仲間には尊敬され信頼され、近所の子供たちには優しい、すごくいい人なんですよ。いい人なんだけど、何かのきっかけでキレると、暴れる自分を抑えられない。約束を守れない。もともとプロレスのことしか頭にない。いわゆる「社会生活不適応者」、娘が言うところの「人間のクズ」あるいは「ダメ男」っぷりがすごくリアルです。
もう顔はぼこぼこで汚いし、貧乏だし、黒いダウンコートにガムテープ(もちろんシルバーのヤツね)貼って着てるし。寂しくて娘にすがりつくし。すぐメソメソするし。ランディの惨めさがたっぷり描かれていて、目を背けたくなるほど無様で不器用過ぎるその生き方に、それでも見ていて目が離せないのは、彼がひたすら真摯だからでしょう。こんな風にしか生きられない人たちっています。そんな生き方の愛おしさと切なさと悲哀がたっぷり描かれてます。
この映画、70年代っぽいちょっとざらざらした映像で、まるでドキュメンタリーかのようです。それがまたリアル。監督は音楽も、無音さえも効果的に使ってます。私の好きなシーンは、ランディが初めてスーパーの惣菜売場で働くことになって、バックヤードから売場に歩いていくとき、リングにあがるときの曲が小さく流れるところ。
クスリ屋レスラーのムッキムキの身体見て「力こぶ見せてくれよ。」ってせがむところも好き。
最後に流れるブルース・スプリングスティーンの歌もいいですよ。
一つだけ気に入らないのは、娘の態度が極端過ぎること。娘の父親に対する感情ってのは、もっと複雑怪奇なものでございます。そのあたりの描写が不十分かな。でもそれ以外は文句なしの迫力映画。厳しいけど、ぐっときます。95点。
とにかく、ぜひ見てください。
ノウイング ★★☆☆☆
どんな映画か事前知識なしに見始めました。前半の数字の謎はおもしろかったのに、途中から、あれっ、そういう話?、え〜っ、結局はそういうこと?、それならストーリー前半の意味がないじゃん。。。。で、そのまま終わっちゃいました。ニコラス・ケイジは出演作にはずれがないけど、これは微妙にハズレなんじゃないかなぁ。
ストーリーとは関係ないけど、私が気になったのは、数字の謎に気づいたニコラスケイジが相談する同僚が、これまた不自然なくらい信じてくれないこと。おまえは、Xファイルのスカリーか。
50点かな。
扉をたたく人 ★★★☆☆
これは、キャバレロの近くの名演小劇場で上映してて、見に行きたかったんですよね。ちらしを読むと「妻に先立たれ孤独に生きる大学教授。しかし移民の青年との出会いと”ジャンベ”の響きが、孤独な教授の心の扉を開く」ってなこと書いてあるから、てっきり音楽満載のハートフルストーリーだと思ってました。
で、見始めたら、前半はいい感じだったけど、ある事件が起きて、え〜っ、そういう話だったんだ。原題の『VISITOR』はそういうことだったのね。と気づき、でも最後にはハッピーエンドかと思いきやそうでもなくて、もやっとしました。思ったほどジャンベの音も音楽も出てこなかったし。
先入観なしで見れば、社会派映画として冷静に見れるかも。60点。