スペインの挨拶は「オラ!」。朝も昼も夜も、いつでもどこでも、まずは「オラ!」の一言で始まります。よって、スペインのことを親方名付けて「オラオラ帝国」。我々オラオラ帝国探検隊2009年春の記録です。
4月23日(木) サン・ジョルディの日(バルセロナ)
旅の4日め、バルセロナ最後の日。この日はサン・ジョルディの日でした。
サン・ジョルディの日とは、カタルーニャの守護聖人である
騎士サン・ジョルディの伝説に由来する祝日です。『ドン・キホーテ』の作者センルバンテスとシェイクスピアの命日でもあるこの日、カタルーニャ地方では、愛と知性のシンボルとして、薔薇と本を贈り合います。というような予備知識は旅行に行く前に知っていたけど、チョコレートを贈る日本のバレンタインデーみたいなものくらいに思っていました。しかし、これが予想をはるかに裏切る素敵なお祭りの日だったのであります。
まずは朝、いつものようにお部屋に朝食を運んでくれたミラ(ホテルの人です)が「今日はサン・ジョルディの日よ。」と言って、赤い薔薇と『ガウディ』という日本語の本をプレゼントしてくれました。感激です。
(余談ですが、私たちは前日ペペに日本から持っていった『SUSHI』という日英併記の本を1日早いサン・ジョルディの日のプレゼントです、といって渡したら、こちらがびっくりするくらい喜んでくれました。カタルーニャの人にとって、サン・ジョルディの日はやっぱり特別の日で、本を贈るのも大事な伝統なんですね。)
さて、チェックアウトして、ミラがスーツケースと貴重品を預かってくれるというので、身軽に街へ繰り出しました。もうおなじみの通りを歩いてランブラス大通りまで行くと..........
色とりどり、華やかな本屋さんとお花屋さんの市が通りにぎっしりと立っていて、すごい人。昨日までとは全然違う雰囲気です。
↑途中、ガウディの作品を眺めたりしつつも、ひたすら歩き続けます。
↑街の広場では、カタルーニャの旗がすべての窓に飾られていて、きれいでした。
この日は、本当に街中から人が繰り出しているって感じで、しかも皆お洒落していて、はっと息をのむようなスペイン美人に遭遇したり、いかにもお金持ちのマダムがいたり、映画に出てきそうなスーツ姿のマフィアみたいなセニョール軍団とか、親方と私はヒューマンウォッチングに夢中。そして、親方がバルセロナで何より気になったのは、メガネです。誰も彼もがすごくお洒落な眼鏡してるんですよね。自分に合うメガネを知ってるんです。
↓ファッションチェックしながらも、こういう人にも親方は目を光らせます。
銃はワルサーP99。らしい。
そんな感じで歩いて歩いて、疲れたら公園やカフェで休憩しながら、お祭りの街をじっくり堪能し、グエル公園へ。
グエル公園の紋章?。かっこいいデザイン。
この日は暑かったなぁ。写真の空の色、見てください。何もかもがくっきり、美しかった。そしてビールが美味しかった。公園に入る前に買ったサンドイッチとコロッケと一緒にいただきました。
グエル公園は中の施設は有料なところもあるけど、入場じたいは無料です。だから、↓こういう人がたくさんいました。
世界中の珍楽器が大集合って感じです。
さて、グエル公園を出て、メトロに乗り、またお祭り気分いっぱいの街を散策。夜行列車の出発時刻21時半まで時間がたっぷりあるのです。
↑上の写真はカタルーニャ広場近くの交差点にあるZARA。街を歩いてると、
ZARA があちこちにあります。さすが、お膝元です。
ZARA HOMEというお店もありました。日本にはまだないですよね。我々も、ZARA やMANGO や H&Mをのぞいて、安くてかさ張らないTシャツなんかをお買物。値段は日本とあまり変わりません。しかしレジに並ぶ人を見ていると、女も男も老いも若きも、みんな山と抱えて大量にまとめ買いしていました。
歩くのとショッピングに疲れて、カフェで一休み、と思ったんですけど、すごい人で通り沿いのカフェはどこもいっぱい。それならガイドブックにあったバルセロナで一番古いカフェ『Maison del Cafe』を探そうと、旧市街に入っていったんだけど、なかなか見つからなくて。諦めて、モンジュイックの丘にでも行こうかと思ってメトロの駅をめざしていたら、見つけました。↓
勝手に想像していたのは、古いビルの1階にある格式高い大きなお店。しかし、 Maison del Cafeは細い小道の途中にある、ほとんどカウンターだけの小さなお店でした。中に入ると、カウンターも、壁も、床もとってもアンティーゴ。細長い店の中に時間が飴色になって封じ込められているような、居心地のいい場所でした。写真は格別に美味しいジントニックをつくってくれたミゲル。カウンターの隣で立ち飲みしてた地元のおじさんが「ここに来たら、ミゲルのジントニックを飲まなきゃダメだ。」と言い張るので飲んだのですが、本当に美味しかったです。ちょっと変わったレシピです。教えてほしい方はキャバレロで直接聞いてみてください。
そんなこんなで、結局モンジュイックの丘に行くには時間がないので、もう1軒バルへ寄って、ホテルで荷物を受け取り、タクシーでサンツ駅へ。
夜行列車でグラナダまで移動します。今回の旅で、私が最も楽しみにしていたことの一つです。2等席、4人部屋、プレファレンテ、グランクラスと4つの料金体系があるのですが、今回グランクラスを日本で予約していきました。部屋にトイレはもちろんシャワールームもついていて、食堂車での夕食&朝食も付いています。テレビで『世界の車窓から』とか『憧れの欧州列車の旅』とか見てると、期待に胸は膨らむばかりでした。
しかし。これが今回の旅の最大の失敗、あるいは後悔となってしまいます。
とにかく狭い。夢にまで見たグランクラスは、実は独房でした。シャワールームなんてまともに使えるような大きさではないし、そのせいでスーツケースを置く場所もない。ベッドを倒したら、トイレの扉だって開け閉めするのが至難の業です。唯一の取り柄は、食堂車での食事ですが、部屋で寛げないから疲れて食欲もあまり出ないのです。ドリンクも何を飲んでも料金に含まれてはいますが、とても飲む気になれませんでした。こんなことなら、プレファレンテで十分、サンドイッチでも買って部屋で食べればいいし、有料だけど食堂車を使うこともできるのですから。夜行列車は寝ている間に移動できるから確かに便利ではありますが、この料金を払うなら、飛行機の正規料金での移動も可能です。とにかく、バルセロナからグラナダまでの移動を考えている方がいれば、グランクラスに乗る意味はありませんよ。
あまりの狭さに、とほほ。な親方。
ってことで、食事中もうとうとするくらい疲れて眠くて、独房に戻って就寝。
旅の4日め、終了。